引きこもりと家族

親が子にしてはいけない事⑥「あなたのため」という言葉をやたら使う毒親 

久しぶりの毒親シリーズ。

謎の生き辛さで満たされている僕の人生。現在も終わりが見えない正体不明の苦痛と、それにともなう引きこもり状態や対人恐怖、自己無価値観といった数々の症状。

それらすべてが、実は幼少の頃の忌まわしい記憶・毒親から受けた数々の暴力に起因していたということに、最近ますます気づいてきている。

僕の苦しみの根源には、毒親の存在があった。

僕と同様に、毒親から虐待を受けたにも関わらず、その事を認識できずに、訳も分からず苦しんでいる人は多いと思う。

だが、認識することが、人生を歩むための強力な一歩になる。

もし、なぜか理由は分からないがとにかく人生が苦しいという人がいたら、それはもしかすると毒親の影響かもしれない。

そんな人にとって、この記事が自分の人生を歩むための気づきになれば、幸いである。

目次

「あなたのため」という言葉の危険性

今回は、「あなたのため」という言葉が口ぐせの親について。最初に断言しておくと、「あなたのため」は毒親が使う危険な言葉であり、知らずに連発してしまうと、あなたも毒親に認定される。

・これは、あなたのため。

・せっかく、あなたのためを思って、色々してあげているのに。

・あなたのためを思っているのに、何がそんなに不満なの?

この言葉が一体何故、危険なのか?なぜ毒親が使う言葉なのか?

それを説明する前に、まず僕自身の実例から示す事にする。

僕の実例

僕の母親は、「あなたのため」を当たり前のように使う人間だった。

何かくだらない理由で怒られたり、暴力をふるわれる時も決まって、「これは、あんたのためなんやで?」と言っていた。

「あんたが、悪い子にならないようにするために、こんな事をしてるんやで?」と言っていた。

そんな虐待を受けた結果、無意識に自分を押し殺して相手に従うようになった僕。

表面上従順な僕に母親は、次々に習い事に通わせるようになった。エレクトーン、スイミング、進学塾。

どれも心の底ではやりたくなかったものだったが、抵抗できなかった。そんな僕に母親が言う言葉は「これはあんたのためなんやで?」だった。「将来、あんたのためになるんや」と。

進学塾に通うようになると、勉強に差し障りが出るという理由で、テレビゲームを禁止された。

母親が言う言葉はやはり、「これは、あんたのためなんやで?」だった。

月日が経ち、僕が母親に対して違和感を覚えだした頃、口論になった事があった。母親に対して不満を行った時の言葉を今でも鮮明に覚えている。

「エレクトーンも習わせてあげた。スイミングも習わせてあげた。進学塾にも行かせてあげた。私立中学にも行かせてあげた。あんな事もしてあげた。こんなこともしてあげた。全てあなたのためを思ってやってきたのに、一体なにがそんなに不満なんや!?」

という言葉だった。

それが、その毒親の全てを表していた。

この言葉を使われたらどうなるか?

以上が僕の経験した事だが、この言葉の危険性はどこにあるのか?

「あなたのため」。この言葉の一番危険な所は、相手の気持ちを無視して、自分の価値観を押し付けることにある。

特に、僕のように「断れない」「自分の気持ちをいえない」子どもにとっては、まるで呪いのようにのしかかる。

しかも、この言葉を使う本人が【本気で相手のためを思っている】と信じ込み、毒親行為をしている事に気づきにくいという、非常に厄介な一面がある。

それどころか、【自分はこんなに良い事をしてあげているんだ】という思い込みが、無意識の毒親行為にさらなる拍車をかけるのだ。

「あなたのため」そこには会話のキャッチボールもなく、気持ちの交流もない。ただ一方的な思い込みと価値観の押し付けのみが存在する。

さらに悪い事には、相手はこんなに自分の事を考えてくれているのに、それに答えられない自分が悪いんだ…と、子どもが罪悪感を抱く可能性がある。それが自己否定感や自己無価値観につながり、さらに人生が生きにくくなってしまう負の連鎖におちいるのだ

【あなたのため】は、実は【自分のため】

「あなたのためを思ってやっているのに」と言われて、嬉しくなる人がどのくらいいるだろう?

おそらくたいていの人は、何となく嫌な気持ちになるのではないか。

この記事を読んでいる方の中にも、【あなたのため】と言われて、よく分からないけどモヤモヤした気持ちを感じた人も多いはず。

そのモヤモヤの正体。意識的にしろ無意識的にしろ、心のどこか深い部分で気づいているからだ。

「あなたのため」は、本当は「自分のため」なんだと。

この人は、「あなたのためを思って」と言いながら、自分の事しか考えていない、と。

もうお分かりだろう。「あなたのため」は、「自分のため」なのだ。

そこになんとなく気づいているから、モヤモヤするのだ。

母親が僕に次々習い事をさせていたのは、本当に僕に事を思っての事ではなく、そうする事で自分が満足するからだった。つまり、自分の欲のためだった。

もし本当に相手のためを思っているなら、相手にどうしてほしいか、どうして欲しくないか、必ず聞かなければいけない。

僕はエレクトーンも、スイミングも、進学塾も、「こういうのがあるけど、どう?」と聞かれたことは一度もなかった。それ以外の様々な場面においても、「あなたはどう思う?」「あなたの考えを聞かせて欲しい」と聞いてもらったことは一度もなった。

どんなに仲が良い相手でも、むしろ仲の良い相手こそ、なあなあではなく相手の気持ちや考えを聞く必要があると考えている。

まとめ:自分自身が同じことをしないよう気を付ける

以上が、親が子にしてはいけない事、「あなたのため」という言葉の危険性についてだった。

もし、この言葉を無意識に使っているかも…という人がいれば、すぐに使用をやめ、かわりに相手の気持ちを聞いてみることをおすすめする。

きちんとしたコミュニケーションができれば、毒親になって子どもをしいたげる確率は劇的に下がり、苦しむ人も減るはず

(もちろん、子どもが安心して自分の気持ちを言える環境は必須だが。)

ここまで書いてきて、自分自身について考える事がある。それは、僕自身が同じことを他人にしていないか?ということだ。

思い返せば僕自身、誰かに気持ちや価値観を押し付けて、嫌な思いをさせてしまった事はたくさんある。

頭では理解していても、知らず知らずのうちにやってしまう。

「相手は、きっとこう思っているだろう」という言葉の危険性を理解し、常に相手の立場を想像しながら関わるようにしたい。

この記事のまとめ

・「あなたのため」を連発する人は、毒親である

・相手の気持ちや考えを聞いて、相手とコミュニケーションを取る必要がある

・相手からされて嫌な事を、自分がしないように気を付ける

太陽