引きこもり

ひきこもりの長期化について考える

太陽です。

先日、読売新聞の記者さんに取材を受けました。

(その時の様子はこちらをどうぞ↓↓)

読売新聞の記者さんに、引きこもりについて取材を受けた話。太陽です。 縁があり、読売新聞の記者さんに取材を受ける機会がありました。 そこで、引きこもりに関して、色々な事をお話しました...

その時取材して頂いたことが、記事になったんです。

読売新聞の中の、地方版ページです。

この記事を読みながら、色々考える事がありましたので、

書いてみたいと思います。

 

目次

引きこもりを取り上げて頂いて感謝。

 

僕のいる支援団体だけでなく、取材を受けた団体がもう1つあって、

同時記事にして頂きました。

2つとも、引きこもりの人を支援する団体です。

記事の概要を説明すると…

・引きこもりに対する社会の認知がとぼしい

・支援が必要な対象として、捉えられていない

・引きこもりは、もっと身近な課題である事を知ってほしい

……といった内容です。

 

元引きこもりが、円グラフの数字を読み解いてみる

新聞記事には、引きこもりに関する円グラフが載っています。

その円グラフと、その他の数字を読み解いてみましょう。

①引きこもりの期間 

まず円グラフは、引きこもりの期間を表しています。

1年未満: 7.1%

1~3年: 16.2%

3~5年: 10.6%

5~7年: 9.5%

7~10年:8.9%

10年以上:28.4%

不明   :19.3% 

となっています。

 

10年以上引きこもっている人の割合が一番多く、28.4%となっています。

引きこもりは非常に長期化しやすいです。

 

5年以上を長期として見てみると、実に46.8%になります。

引きこもりのうち、半数近くは5年以上引きこもっているという事になります。

 

一度引きこもってしまうと長期化するだけでなく、

長期化して年齢が上がると、今度は引きこもりから非常に脱出しにくくなる。

なので今後、10年以上の割合はさらに上がってくると思います。

②引きこもりを年代別で見てみる

引きこもっている人を、年代別の割合で見てみましょう

7~20歳 :16%

21~29歳:21.6%

30代   :28.3%

とのことです。

 

40歳以上の引きこもりの人の割合は書いてないですが…

先日発表された数字では61万人。

 

長期化&脱出しにくさという点からすると、

40歳以上の引きこもりの人の割合も、今後さらに上がるのではと思います。

 

③引きこもりになったきっかけ

引きこもりになったきっかけの割合も、載っていました。

「不登校」:24%

「職場になじめなかった」:10.1%

「人間関係」:10%

となっています。

 

きっかけが不登校が最も多く、24%というのは驚きました。

時事問題として、不登校傾向の中学生が増えているという記事を書きました。

 

(その時の記事はこちらをどうぞ↓↓)

増えている不登校の子ども。周りの大人が出来る事がある。太陽です。 今朝、新聞を見ていた時のこと。 「不登校傾向」の中学生が増えている、という記事が出ていました。 不登校から...

 

不登校から、引きこもりに移行する人も相当数いるのでは、と思います。

不登校と引きこもりは、かなり密接な関係があるんだ、という事を改めて知りました。

 

ということは、不登校の段階でしっかりサポートできれば、状況は大分違ってくると思いますね。

 

引きこもりの孤立化について考える

さらに、引きこもりの大きな問題の1つなのですが…

引きこもりは孤立化しやすい、というものがあります。

 

・どこに相談していいか分からない

・引きこもりを世間から隠したい

・引きこもりを、恥ずかしい事・悪い事と思っている

・自己責任論になってしまい、相談しにくい

 

などの原因があると思っています。

 

今回の記事でも、少し古いデータですが

「地域で引きこもりと確認できた1134人のうち44.4%は

行政や支援団体の支援を受けていない」

という事が分かったそうです。

 

実に半数近くの人が、誰にも相談できず悩みを抱え込んでいる。

やはり一番大きな原因は、

「引きこもりは恥ずかしい事なので、隠したい」という意識が働いてしまう事があると思います。

それだけ、社会のひきこもりに対する認知が、そのようになってしまっていることの表れだと。

正論を押し付けられて、しんどい

これは僕自身が体験してきて、すごく感じている事なのですが…

 

世の中では、いわゆる「世間一般の正論」が非常に影響力があり、

一般的なもの・正論から外れた人を攻撃するような風潮があるんですね。

 

正論とは、ほとんど大多数の人が普通にそうして当たり前と思ってる事。

 

ですがそれが当たり前じゃない人って、絶対いますよね。

 

なのに、正論から外れるだけで、非常に生きにくいルートを通らざるを得なくなってしまう…。

 

引きこもりも、世間一般から外れた道。

正論から外れたものとして、正論の攻撃の対象になってしまうんです。

僕もこれまで何度もありました。

 

勇気を出して仕事の面接に行ったら、

「なんで今まで働いてなかったの?そんなんじゃダメだ」

 

「高校大学を出たら、自分のやりたい事を見つけて親元から離れる。

それが普通。なのになんで引きこもったの?」

と言われてしまって。

 

正直、かなりダメージを受けましたね。

 

その、「正論」「普通でいる事」の圧力が、引きこもりを誰にも相談できず

孤立化につながっている原因の1つなのではないかなと感じます。

引きこもり=恥 になってしまっているんです。

 

日本特有の文化も、引きこもりが生きにくい理由

正論の言ってることは、確かに分かります。

 

学校に行くべき。

学校を出たら働くべき。

 

頭では分かるのですが、どうしても身体が付いてこない時もあるし、

事情があって出来なかったりもします。

 

で、日本というのは…

みんなと同じ道から外れる事に、極度に不安を感じる文化が根付いてます。

「赤信号、みんなで渡れば怖くない」なんて、まさにそれですね。

 

世間一般の多数派の人はきっと、そこから外れた少数派に不安を感じるのかもしれません。

そのため正論や普通を用いて、少数派を攻撃してしまう。

なので、少数派が生きにくい。

そういった日本特有の事情というのも、あるのではないかなと思います。

 

引きこもりが生きやすいのは、どんな社会?

やはり、引きこもり経験があっても生きていきやすい社会になってほしい。

そうなって欲しいと切に願うのですが…

 

まず一番は、

「引きこもりは悪い事ではない」という意識が浸透して欲しいです。

 

色んな事情があって引きこもりになっている人がいるけど、それは状態の1つであって、やがてなくなるもの。

 

例えば、風邪をひいて体調が悪くなってる人に

風邪をひくなんて、恥ずかしい

風邪をひくのは間違ってる

普通、風邪なんてひかない

なんていう人はいないですよね?

 

引きこもりも、一種の心の風邪をひいたような状態。

風邪と同じような感覚で、社会が引きこもりを認知したら、だいぶ生きやすくなるのではないかと思います。

風邪を引きやすい人がいるように、心の風邪も引きやすい人がいるんです。

 

生きやすい社会にするために出来る事は?

今できること・今できる活動を、1つずつコツコツやっていくしかないのでしょうか。

僕がこのブログで情報発信したり、新聞の取材を受けたりするのもその1つ。

 

引きこもりに対する認識が変わっていく1つのきっかけになれば嬉しい、と思っています。

 

1つ1つが積み重なっていくと、大きな力になるはずだと。

今後も、情報発信を続けていきたいと思います。

あとがき

今日2019年7月21日は参議院議員選挙の投票日。

投票に行ってきました。

 

ですが、各政党の公約や街頭演説を聞いても、

引きこもり問題を取り上げてくれる方はほぼ皆無ですね…。

 

よし、こうなれば僕が、

「ロードバイクで引きこもりを脱出する会」

を立ち上げようかな!?

太陽